本稿では、東プレより発売されているゲーミングキーボード「REALFORCE GX1」のレビューをお届けします。
製品概要 / スペック
「REALFORCE GX1」は、国内メーカー・東プレが手掛けるキーボードブランド「REALFORCE」の第二作目となるゲーミングキーボード。前作の「REALFORCE RGB」を大幅にアップデートし、アクチュエーションポイント機能の強化、新たな静音スイッチの採用、同ブランドとしては初のフローティングデザインの採用など、非常に魅力的な製品となっています。
製品名 | REALFORCE GX1 |
キーレイアウト | JIS / ANSI(TKL) |
スイッチ | 東プレスイッチ(静電容量無接点方式) |
スイッチ寿命 | 1億回以上 |
キー荷重 | 30g / 45g |
キーストローク | 4mm |
キーキャップ | ABS / 2色成形 |
カラー | ブラック |
サイズ | 143.1mm x 365mm x 38.2mm |
重量 | 1.3kg |
定価 | 33,000円 |
同梱品
REALFORCE GX1
- キーボード本体
- 取扱説明書(保証書)
キースイッチ
GX1のキースイッチには、物理的な接点のない東プレ独自の機構を持つ「静電容量無接点方式」スイッチを採用。キー荷重は30g / 45gの2種類のモデルが用意されており、打鍵感の好みに応じて選ぶことができます。
また、軸受けには前作「REALFORCE RGB」に引き続き、LEDバックライトを内蔵したCherry MX互換の十字型を採用。従来の東プレ軸とは異なり、キーキャップ交換の選択肢が豊富なことも本製品の魅力の一つです。
キーキャップ
GX1のキーキャップは2色成形のABS樹脂製。表面はマットでややザラっとした粒子感のある質感です。長時間の使用でも皮脂汚れが目立ちにくく、半透明樹脂と黒い樹脂を二重にした「2色成形(ダブルショット)」のため、印字が消える心配もありません。キーキャップ本体の厚みも十分にあり、全体的にしっかりとした作りになっています。
REALFORCEの一般向けキーボードでは、より高品質とされるPBT製のキーキャップが採用されていますが、GX1のキーキャップはABSながらも必要十分なクオリティに仕上がっていると感じます。
打鍵感
GX1には前述の通り、30g / 45gの2種類のキー荷重モデルが用意されています。それぞれの特性は以下の通り。
30gモデル
30gモデルは「サコサコ」といった高音寄りの軽快な打鍵感。キーの押し始めは非常に軽く、Cherry赤軸のような引っかかりのないリニアな打鍵感が特徴です。軽快で素早い入力が可能なため、FPSのようなキーボード上で細かな操作を行うゲームや長時間のタイピング作業に適したモデルと言えます。
注意点としては、非常に軽い打鍵感から誤爆も多くなってしまうこと。後述する「アクチュエーションポイント(AP)」を最も浅い位置に調整した場合、キーに指を軽く乗せている状態でも入力が行われてしまうケースがあり、特にMOBA系のタイトルをプレイする上ではAPを深めに設定するなどの工夫が必要であると感じます。
45gモデル
対して45gモデルは東プレ軸を採用したハイエンドキーボード「HHKB」に近い「コトコト」といった低音寄りの打鍵感で、30gに比べると適度な重さを感じます。キーの押し始めはやや重く、キーストローク1mmを超えた辺りから荷重が軽くなり、「ストン」と一気に底打ちするような感覚を得られます。
30gに比べると少し粘りのあるしっとりとした打鍵感が特徴で、リニアタイプというよりはわずかにタクタイル感のある茶軸に近い印象。より正確な入力が求められるMOBA系のタイトルや、しっかりとした打鍵感が好みという方には45gをおすすめします。
また、両モデルに共通する留意点として、強めに底打ちした際に「チャッ」といったような音が発生します。軽めの打鍵では気になりませんが、強めに打鍵する方は留意しておく必要があります。
筆者の個人的な好みとしてはどちらの打鍵感も好きで甲乙つけ難く、気分によって使い分けています。タイピングしていて気持ちが良いのは45g、ゲームに向いているのは30gといった印象です。どちらが良いかは個人の好みによるので、家電量販店などで実際に手にとって試してみることをおすすめします。
また、非ゲーミングの東プレ軸と比べると若干打鍵感は異なります。個人的に打鍵していて気持ちがいいのはやはり従来の東プレ軸と感じましたが、GX1も十分に静電容量無接点方式特有の底つき感の少ない快適な打鍵感に仕上がっていると感じます。
REALFORCE GX1 30g / 45g / R2S 打鍵音比較
オプション品:キースペーサー
GX1 キースペーサーセット
- 日本語配列用 キースペーサー(厚さ 3mm)
- 日本語配列用 キースペーサー(厚さ 2mm)
- キープラー
GX1にはオプション品として「キースペーサー」が別途販売されています。こちらはキーキャップの下に挟むクッション材のようなもので、キーストロークの短縮化&指先への負担軽減を行うためのものになります。
装着方法は簡単で、キーキャップを取り外してキースペーサーを本体に被せるだけ。キーストロークが短くなり、ロープロファイルキーボードに近い打鍵感が味わえます。より高速入力がしたい方、静音性、負担軽減を求める方におすすめの製品です。
厚さは2mm/3mmの2種類を同梱、本稿執筆時点では2,090円で販売されています。
チルトスタンド / 滑り止め
GX1のチルトスタンドは2段階で、本体裏面の滑り止めは計6箇所に配置。スタンド有り/無しのいずれの状態でもしっかりグリップが効くように配慮されています。こちらはREALFORCEの既存製品と同一設計になっている模様です。
ゴム足のグリップ感はそこまで強力ではないものの、1.3kgという本体重量のおかげで安定感は抜群。使用中に不意に動いてしまうようなこともありません。
ケース / 接続方式
GX1のケースには剛性の高いスチールフレームを採用し、重量は公称値1.3kgとTKLキーボードとしては非常に重め。表面にはパウダーコーティングが施されており、サビにも強いとのこと。メンテナンスが容易なフローティングデザインを採用し、全体的に無骨なデザインに仕上がっています。
接続方式はUSB Type-Aの有線接続のみ。ケーブルの着脱には対応していません。裏面にはケーブルを上方/左右から出すだめの溝が設けられています。
性能
GX1の最大の特徴は、本製品で初搭載された新機能の「ダイナミックモード」。キーストロークにおけるオン位置(アクチュエーションポイント)・オフ位置(リリースポイント)を指の動きに合わせて可変させる機能で、4段階(0.8mm、1.5mm、2.2mm、3.0mm)のポイントが設けられています。
ダイナミックモードは、簡単に言えば「キーを離した際の入力終わりが高速化される」というもの。FPSタイトルなどで特に恩恵を受ける機能で、ストッピング動作が素早く行えるというメリットがあります。
たとえば、アクチュエーションポイントの設定値を1.5mmにした場合、キーを押し込む深さが1.5mmを超えた時点から入力が開始されます。入力を止める場合には、通常であればリリースポイント(ここではアクチュエーションポイントと同位置)まで戻す必要がありますが、ダイナミックモードではこのアクチュエーションポイント/リリースポイントが押し込む深さに応じて、4段階で自動で切り替わる仕組みを採用。より機敏な入力が可能になり、連打やストッピングなどの動作に恩恵をもたらします。
また、本製品では従来のリリースポイントが動かない「ノーマルモード」も別途用意されており、各用途によって使い分けることが可能です。
キースイッチのアクチュエーションポイントをカスタマイズできる APC(アクチュエーション・ポイント・チェンジャー)機能を進化させた、 「Dual-APC」機能を新搭載。新機能の「ダイナミックモード」では、キーストロークにおけるオン位置・オフ位置(リリースポイント)を指の動きに合わせてリアルタイムに可変させることで、ゲームへの高速入力を実現します。安定したプレイを求めるキーには、リリースポイントが動かない「ノーマルモード」も設定でき、両モードともに4段階(0.8mm、1.5mm、2.2mm、3.0mm)のオン位置(アクチュエーションポイント)を設定できます。
REALFORCE
ソフトウェア
GX1の各種設定は、REALFORCEの専用ソフトウェア「REALFORCE CONNECT」で行うことができます。主な設定項目は以下の通り。
- MY REALFORCE:ヒートマップの確認、ファームウェアのアップデート
- APC:アクチュエーションポイントの変更、ダイナミックモードのキー割り当て
- キーマップ入替:キーマップの入れ替えが可能
- イルミネーション:LEDの明るさ変更(OFF/LOW/MID/HIGHの4段階)、起動時のLEDエフェクト、ライティングパターンの変更
REALFORCE GX1:レビュー総評
以上、東プレから発売されているゲーミングキーボード「REALFORCE GX1」のレビューでした。
GX1は国内メーカー・東プレが手掛ける高級キーボード「REALFORCE」のブランドを冠した第二作目となるゲーミングキーボード。静電容量無接点方式の静音スイッチを搭載するほか、フローティングデザインの採用、新機能の「ダイナミックモード」を搭載するなど、ゲーミングキーボードとして高い性能を誇りながらも個性あふれるプロダクトとなっています。
GX1の購入を検討する上で対抗馬として考えられるのは、eスポーツ界隈で近年大きな話題を集めている「Wooting」シリーズ。Wootingシリーズは、GX1のダイナミックモードの類似機能である「ラピッドトリガー」を搭載し、こちらは入力のON/OFFポイントが無段階可変する仕組みとなっています。機能面だけでいえばGX1の上位互換であると言えますが、本稿執筆時点では国内では販売されておらず、入手性が低いことが難点。また、現時点では日本語配列がないこともデメリットとして挙げられます。
一方のGX1は、家電量販店などで取り扱いがあり実機に触れることができること、メーカーからのサポートが受けやすいなどのメリットが挙げられます。また、フェザータッチと称される「静電容量無接点方式スイッチ」独特の柔らかな打鍵感は唯一無二で、他のキーボードでは味わえない気持ちよさがあります。実際、筆者もメインキーボードとして長年「REALFORCE R2S」を使用しており、何度も他のキーボードを試すも結局REALFORCEに戻ってくるという沼に陥っています。
また、GX1の「ダイナミックモード」は今後機能面のアップデートを予定しており、現在テストの最中であるとアナウンスされています。「既存ゲーミングキーボードにない新機能」の搭載も検討しているとのことで、今後の改良にも注目が集まります。
REALFORCE GX1の特徴
- 独自の柔らかな打鍵感&高耐久な「静電容量無接点方式スイッチ」を搭載
- アクチュエーション/リリースポイントが可変する「ダイナミックモード」を搭載
- 堅牢さと安定感を備えたスチールフレームケースを採用
- LEDバックライトを搭載し、暗所でもキーの文字を視認しやすい
- 30g/45gのキー荷重、日本語配列/英字配列の組み合わせから選択可能
- 専用のキースペーサー(別売)を装着することで、擬似的にロープロファイルのような打鍵感が実現可能
REALFORCE GX1の短所
- 強めに底打ちした際に「チャッ」といったような音が発生する(軽めの打鍵では気にならず)
- ケーブルの着脱が不可
- 従来の東プレ軸とは多少異なる打鍵感
REALFORCE
https://www.realforce.co.jp/
https://twitter.com/TOPRE_REALFORCE
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