本稿では、Chilkeyから発売されているゲーミングキーボード「Slice75 HE」をレビューします。
製品スペック
製品名 | Slice75 HE |
カラー | Gray / Black |
キーレイアウト | US配列 75%レイアウト |
ケース | CNCアルミニウム |
スイッチ | Gateron Jade Pro Switch Initial Force: 36±5gf Total Travel: 3.5±0.1mm |
AP / RT | Actuation Point:0.005-3.3mm / 0.005mm単位 Rapid Trigger:0.005-3.3mm / 0.005mm単位 |
キーキャップ | PBTダブルショット / Cherryプロファイル |
ホットスワップ | 対応 |
ガスケットマウント | Silicone Bead Gasket Mount |
PCBプレート | アルミニウム |
VIA/QMK | 非対応 |
ポーリングレート | 最大8000Hz |
接続方式 | USB Type-C |
サイズ | 322×138.3×19.3-35.2mm |
重量 | 1.85±0.15kg |
販売リンク
Chilkey公式サイト:https://chilkey.com/products/slice75-he-keyboard
遊舎工房:https://shop.yushakobo.jp/products/10531
ふもっふのおみせ:https://www.fumo-shop.com/chilkey-slice75-he-keyboard-black.html
パソコンSHOPアーク:https://www.ark-pc.co.jp/i/50286624/
開封|同梱品




同梱品
- キーボード本体
- USB Type-Cケーブル
- キーキャッププラー
概要|デザイン
「Slice75 HE」は、Chilkeyから新たに発売されたラピッドトリガー対応ゲーミングキーボード。「ND65 CS HE」に続いて、ラピッドトリガー対応キーボードの第二作目となります。主な特徴として、CNCアルミニウムケース、最大8000Hzのポーリングレート、Gateron Jade Proスイッチ搭載、ガスケットマウント構造などが挙げられます。

カラー展開はブラックとグレーの2モデルが用意されています。今回レビューするのはグレーモデルとなります。
外観は非常にシンプルで、ゲーミングデバイスらしさはあまりなく、無骨で堅牢な印象を受けます。CNC加工されたフルアルミニウムケースは約1.85kgと非常に重く、デスク上での安定感は抜群です。

ケース表面はマットで上質な質感です。ケース前面の手首が触れる部分は面取り加工がされており、細部にもこだわりが感じられます。。

また、キーボード右下にはChilkeyのロゴプレートが配置されています。LEDなどの装飾機能はありませんが、シンプルなデザインの中にさりげないアクセントを加えており、全体のデザイン性を引き立てています。

重量のあるキーボードであるため、チルトスタンドは搭載されていませんが、約6度の傾斜があらかじめ設けられており、自然な角度で快適に使用することができます。

底面の四隅には滑り止め用のゴムパッドが取り付けられています。接着式ではなく着脱可能なタイプのため、キーボードを持ち上げた際に外れてしまうことがあります。紛失しないように注意が必要です。

また、底面には氷のひび割れをモチーフにしたバックウェイトが採用されています。上品なブラックカラーが高級感を演出しており、シンプルな外観の中に個性を加えています。


接続方式はUSB Type-Cによる有線接続のみで、背面中央にポートが配置されています。

さらに、Slice75 HEは工具を使わずにトップケースを取り外すことが可能です。Chilkey製品ではおなじみの仕様で、本機にも同様の構造が採用されています。トップケースとボトムケースはマグネット式のボールキャッチ機構で固定されており、多少の力は必要ですが簡単に着脱できます。
これにより、内部の清掃やMODなどのカスタマイズを手軽に行うことができます。他のキーボードではあまり見られない仕様であり、Chilkey製品ならではの特徴と言えるでしょう。


打鍵感|スイッチ・キーキャップ
Slice75 HEは、重厚なアルミニウムケースに加え、ガスケットマウントが搭載されています。内部はアルミニウムプレート、コルクダンピングフォーム、PCB、ポロンフォーム、PETフィルムといった構造になっています。コルク製のダンピングフォームは珍しいですが、この内部構造のおかげで打鍵音は非常に素晴らしい仕上がりとなっています。
Slice75 HEは、重厚なアルミニウムケースに加えて、ガスケットマウント構造が採用されています。内部構造は、アルミニウムプレート、コルクダンピングフォーム、PCB、ポロンフォーム、PETフィルムで構成されており、特にコルク製のダンピングフォームは非常に珍しい要素です。これにより、打鍵音は非常にクリアで心地よく、高い完成度に仕上がっています。
キースイッチには、現在の磁気式スイッチの主流とも言える「Gateron Jade Pro」が採用されています。高品質な打鍵感が特徴で、磁気式でありながら、心地よい“コトコト”とした底打ち音を楽しむことができます。

アルミプレートによる明瞭な底打ち感と、ガスケットマウントによる衝撃の緩和が絶妙なバランスで両立されており、非常に快適な打鍵感を実現しています。さらに、内部には複数層の吸音フォームが組み込まれており、ケース内で音が反響することなく、こもり感のある“Thocky”な「コトコト」とした打鍵音を生み出しています。
プレートの沈み込みは最小限で、打鍵全体の感触も均一かつ安定しています。ラピッドトリガー対応キーボードの中でも、打鍵音・打鍵感ともにトップクラスの完成度を誇る仕上がりで、コトコト系の打鍵音を好むユーザーに特におすすめできる製品です。


各種スタビライザーには、潤滑剤が十分すぎるほど塗布されています。スペースバーなどの大型キーでもワイヤーの金属音はほとんど感じられず、非常に高品質な仕上がりです。なお、筆者の個体では、Enterキーや左Shiftキーにおいて潤滑剤の塗布がやや過剰で、わずかにもたつきを感じる場面もありましたが、トップケースの取り外しが容易な構造のため、必要に応じてルブを除去することで簡単に調整が可能です。全体として大きな問題ではないと感じます。

キーキャップはダブルショット成形のPBT素材が採用されています。表面はマットな質感で手触りはさらさらとしており、長時間の使用でもべたつきにくく、耐油性にも優れています。

ソフトウェア
Slice75 HEの各種設定は、ChilkeyのWebドライバーで行うことができます。ソフトウェアをインストールすることなく、ブラウザ上で簡単にアクセスできるため、非常に利便性が高いです。
設定項目は非常に多岐にわたっており、ライティングのカスタマイズ、パフォーマンス設定、キーリマップ、マクロ機能、DKS(ダイナミックキーストローク)、SOCDなど詳細な調整が行えます。
UIは視認性が高く、直感的に操作できる設計になっています。ただし、現時点では対応言語が英語・中国語・韓国語となっており、日本語には対応していません。
アクチュエーションポイントおよびラピッドトリガーの設定は、最短0.005mmから3.3mmまで0.005mm単位で調整可能です。日本語表記がなく少々説明が分かりづらいため、以下に簡単に解説を記載します。
- First Trigger Stroke
- キーが反応(入力として認識)を開始する「初期の作動点(アクチュエーションポイント)」を設定する項目。いわゆるアクチュエーションポイント
- Rapid Trigger Reactuation
- キーを離した後に、再び押したときに反応(押されたと判定)するまでに必要な距離。高速連打が必要な際に設定すると良い
- Rapid Trigger Deactuation
- キーを離した時に、押されていないと判定される距離(無効化ポイント)。いわゆるラピッドトリガー
そのほかにも、キーのわずかな押し戻しやブレによる誤作動を防ぐデッドゾーン設定や、スイッチ選択機能なども搭載。DKSやSOCDを含め、細部まで調整が可能であり、カスタマイズ性を重視するユーザーにとっても大きな魅力となっています。











Chilkey Slice75 HE|総評
Slice75 HEは、重厚な構造と優れた内部設計により、打鍵感・打鍵音ともに非常に高い完成度を誇るラピッドトリガーキーボードです。Gateron Jade Proスイッチとの相性も良く、安定した操作性と豊富なカスタマイズ性を両立しています。
アクチュエーションポイントとラピッドトリガーの設定は、最短0.005mmから3.3mmまでを0.005mm単位で細かく調整可能。さらにポーリングレートは最大8000Hzに対応しており、打鍵感だけでなく性能面においてもトップクラスのスペックを実現しています。
外観も非常にシンプルかつシックで、フルアルミニウムケースによる高いビルドクオリティと堅牢性、そして所有欲を満たす美しさを兼ね備えた仕上がりです。

Slice75 HEは、Chilkey公式サイトのほか、国内では遊舎工房、ふもっふのおみせ、パソコンSHOPアークなどの販売店で取り扱いがあります。価格はChilkey公式が189ドル(本稿執筆時点で約27,000円)、日本国内では29,700円前後と、本国との価格差が小さいのも嬉しいポイントです。ただし、Chilkey公式から日本への直接配送は現在非対応となっています。
約3万円で購入できるキーボードとしては、外観・性能ともに現時点で最高峰の一台と言える完成度です。シンプルで堅牢なデザインに加え、優れた打鍵感と高いパフォーマンスを兼ね備えており、見た目・使い心地・機能性のすべてにおいて満足度の高い製品に仕上がっています。
高性能なラピッドトリガー対応キーボードを探している方は、ぜひ選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
販売リンク
Chilkey公式サイト:https://chilkey.com/products/slice75-he-keyboard
遊舎工房:https://shop.yushakobo.jp/products/10531?variant=50883230269671
ふもっふのおみせ:https://www.fumo-shop.com/chilkey-slice75-he-keyboard-black.html
パソコンSHOPアーク:https://www.ark-pc.co.jp/i/50286624/