本稿では、ASUSから発売されているキーボード「ROG Swift OLED PG32UCDP」をレビューします。
製品スペック
製品名 | ROG Swift OLED PG32UCDP |
パネルサイズ | 31.5インチ |
アスペクト比 | 16:9 |
パネル種類 | 白色有機EL (WOLED) / アンチグレア |
最大解像度 | 3,840×2,160 / 4K |
表示領域 (H x V) | 696.6×391.8mm |
画素ピッチ | 0.182mm |
視野角 | 170° |
最大輝度 | 450cd/㎡ |
輝度 (HDRピーク) | 1,300cd/㎡ |
コントラスト比 | 1,500,000:1 |
広色域対応 | DCI-P3 99% |
応答速度 | 0.03ms (GTG) |
表示色 | 1073.7M (10bit) |
フリッカーフリー | 対応 |
リフレッシュレート | 240Hz |
デュアルモード(Frame Rate Boost) | 4K:240Hz / FHD:480Hz |
入力/出力 | HDMI(2.1)×2 DSC対応DisplayPort(1.4)×1 USB 3.2 Gen 1 Type-A×3 USB Type-C(90W電源供給)×1 イヤホンジャック SPDIF出力×1 アップストリームUSB 3.2 type-B×1 |
搭載技術/機能 | ASUS OLED Care GameVisual &GamePlus VRR technology Color pre-calibration A.I. Assistant technology |
消費電力 | 44W以下 |
本体サイズ(W×H×D) | 71.4×57.9×27.4cm |
質量 | 7.3kg |
保証期間 | 購入日より3年間の日本国内保証(パネルの焼き付き含む) |
開封|同梱品
同梱品
- キャリブレーションレポート
- DisplayPortケーブル
- Ultra High Speed HDMIケーブル
- 電源アダプター
- 電源コード
- クイックスタートガイド
- ROG ポーチ
- USB 3.2ケーブル
- USB-C ケーブル
- VESAマウントキット
- 保証書
以下はスタンドのパーツになります。スタンドは高さ調整、傾斜、スイベル、ピボット機能が付いています。ROGブランドに共通しますが、かなり特徴的なスタンド形状になっています。
スタンド下部にはデスクの上にブランドロゴを投影できるLEDライトが搭載されています。
有機EL / 液晶パネルとは?
本製品には、有機ELパネルが採用されています。製品レビューの前に、有機ELと液晶の違いについて簡単に説明します。
有機ELパネルは、有機化合物を使用して自発光するディスプレイ技術です。バックライト方式のTNやIPSパネルなどの液晶とは異なり、有機ELはバックライトをを必要とせず、各ピクセルが個別に発光する仕組みを持っています。これにより、薄型で軽量なディスプレイを実現し、圧倒的なコントラスト比や色の鮮やかさが大きな利点となっています。
構造の特徴
有機ELパネル
- 自発光型
各ピクセルが独立して光を発するため、バックライトが不要。完全な黒(=発光しないピクセル)が表現可能。また視野角も広く、斜めから見てもコントラストや色味の変化が少ない - 応答速度が速い
ピクセルごとにオン・オフを制御するため、動きの激しい映像でも遅延や残像が少ない - 薄型設計
バックライトユニットが不要なため、パネル自体が非常に薄く軽量
液晶パネルの種類
液晶ディスプレイ(LCD)は、バックライトを使用して光を液晶層を通して表示します。主に以下の3種類があります。
- TNパネル (Twisted Nematic)
- 構造:液晶分子がねじれた状態で光を制御
- 特徴:コストが低く、応答速度が速いが、視野角が狭く色再現性は劣る
- IPSパネル (In-Plane Switching)
- 構造:液晶分子が平行に配置され、光の漏れを抑える設計
- 特徴: 視野角が広く、色再現性が優れるが、応答速度はTNより遅め
- VAパネル (Vertical Alignment)
- 構造:液晶分子が垂直方向に配置され、光漏れを最小限に抑える設計
- 特徴:TNとIPSの中間に位置する性能。コントラスト比が高く、黒がIPSよりも深いが、応答速度はTNや最新のIPSよりやや遅い
有機ELと液晶パネルの比較
特徴 | 有機EL (OLED) | TN | IPS | VA |
---|---|---|---|---|
コントラスト比 | 圧倒的(完全な黒が可能) | 低い | 中程度 | 高い |
色再現性 | 非常に優れる | 低い | 優れる | 良い |
視野角 | 広い | 狭い | 広い | IPSほどではないが広い |
応答速度 | 最速 | 非常に速い | 速い | やや遅い |
コスト | 高価 | 低い | 中程度 | 中程度 |
明るさ | 優れるがピーク輝度は液晶に劣る | 通常 | 明るい | 明るい |
外観 / スタンド
「ROG Swift OLED PG32UCDP」は、ASUSのゲーミングブランド「Republic of Gamers(ROG)」から今年11月22日に発売された32インチの4Kゲーミングモニターです。有機EL(OLED)パネルを採用し、4K解像度での高精細な映像と、1,500,000:1という圧倒的なコントラスト比を実現しています。さらに、用途や好みに応じてリフレッシュレートと解像度を切り替えられるデュアルモード機能を搭載しており、4K/240Hzの高精細モードとフルHD/480Hzの超高速リフレッシュレートモードの両方に対応。FPSやMOBAなどの競技シーンから映像視聴まで幅広いニーズに応えるハイエンドモニターとなっています。
表面仕様はアンチグレア(反射防止)加工が施されており、蛍光灯などの室内照明下でも光の反射が抑えられ、視認性が非常に高い点が特徴です。グレアタイプと比較すると、アンチグレア加工はわずかながら画質劣化を伴う場合がありますが、実際の使用ではその影響はあまり感じられないと感じました。映り込みによるストレスが軽減されるため、長時間使用しても目の疲れを感じにくい点が大きなメリットであると感じます。
背面にはROGブランドのロゴが大胆に配置されており、電源オン時にはロゴ部分が発光する仕組みになっています。設定でオフにすることも可能です。
付属のスタンドは、高さ調整、傾斜、スイベル(左右回転)、ピボット機能(縦方向への回転)に対応し、モニターの位置を自由に調整できます。スタンドの装着もワンタッチで簡単に行えるため、設置の手間がかかりません。機能性と利便性を兼ね備えた設計となっています。
傾斜は+20度から-5度、スイベルは+15度から-15度まで対応し、高さはモニター下枠からデスク面まで9cmから17cmの範囲で調整できます。モニターアームを使用せずとも、十分実用的なポジション調整が可能なスタンドです。
スタンド下部には、デスク上にブランドロゴを投影できるLEDライトを搭載しています。付属のブランクカバーは計5枚で、そのうち2枚はROGブランドロゴがプリントされたもの、残り3枚は透明でカスタマイズ用になっています。透明カバーを加工することで、自分の好きなロゴやデザインを投影することも可能です。他メーカーでは見られない、ROGブランドならではのユニークな機能となっています。
VESAマウントは100×100mmに対応しており、付属のVESAマウントキットを背面に取り付けることで、モニターアームへの設置が可能です。
入力/出力端子は以下の通りで、特徴はUSB Power Delivery(PD)に対応していることです。類似スペックのLG社製のOLEDモニター「32GS95UE-B」がUSB PD非対応であるのに対し、本製品は最大90Wの電源供給と映像出力をUSB-C経由で同時に行えます。ノートPCをUSBケーブル1本で接続し、映像出力と給電を同時に行うなど、利便性の高い機能となっています。
端子ポートの下部には、OSD(オンスクリーンディスプレイ)操作用のジョイスティックとボタン2つが配置されています。これらのボタンはOSDメニュー操作や電源のオンオフ、その他ショートカット用のボタンとして使用でき、操作性は良好です。
- HDMI(2.1)×2
- DSC対応DisplayPort(1.4)×1
- USB 3.2 Gen 1 Type-A×3
- USB Type-C(90W電源供給)×1
- イヤホンジャック
- SPDIF出力×1
- アップストリームUSB 3.2 type-B×1
モニター背面には排気口が設けられており、効率的なエアフローによって内部の熱を排出します。有機ELパネル特有の発熱を抑え、安定したパフォーマンスを維持する設計となっています。
バックライトを必要としない有機ELパネルの採用により、モニター全体が非常に薄型の設計となっています。厚みは実測でわずか5.5mm程度と、液晶パネルではあり得ない驚異的な薄さに仕上がっています。
ゲーム性能 / デュアルモード
ROG Swift OLED PG32UCDPは、用途に応じてリフレッシュレートと解像度を切り替えられるデュアルモード機能を搭載しています。「4K/240Hz」の高精細モードと「フルHD/480Hz」の超高速リフレッシュレートモードの選択が可能で、ゲームのジャンルや使用シーンに合わせて最適な設定でプレイすることができます。
OSDメニューの「ゲーミング」設定内にある「フレームレートブースト」を有効にすることで、フルHD/480Hzモードへ切り替えが可能です。この設定により、動きの速いゲームでもより滑らかな映像表示を行うことができます。
初期状態ではフルHD解像度が32インチサイズに引き伸ばされた表示になりますが、OSDメニューの「画像」→「アスペクトコントロール」から設定を変更することで、27インチや24.5インチ相当のサイズに縮小して表示することが可能です。ただし、画面全体をフル表示する場合と比較すると、縮小時は仕様上画質がやや劣化します。
VALORANTのようなカジュアルFPSであれば実用的な範囲内の画質ですが、高精細なグラフィックが求められるタイトルや遠距離での撃ち合いが多いシーンでは、画質の劣化が少し気になる場合があります。
4KモードとフルHDモードで表示した際の解像感の違いは、ゲーム内容や表示要素に依存します。具体例としてVALORANTを例に挙げると、全体的な印象では両モード間にそれほど大きな差は感じられません。しかし、画面を拡大して細部を確認すると、4Kではキャラクターやオブジェクトの輪郭がシャープでジャギー(ギザギザ)が少ないのに対し、フルHDモードではやや輪郭がぼやけ、ディテールが失われていることがわかります。
とはいえ、個人的には480Hz/フルHDモードでも解像感の劣化はそれほど顕著ではなく、プレイ中の視認性や快適性を損なうレベルではありません。動きの速いゲームプレイにおいては、滑らかさが重視されるため、このモードでも十分実用的な画質だと感じました。
480Hzの必要性と使用感
ゲーミングモニター市場では、144Hzから500Hz超えまで、多種多様なリフレッシュレート(1秒間に画面が更新される回数)のモニターが展開されています。本製品「ROG Swift OLED PG32UCDP」は、480Hzモードに対応しており、これが実際どのような見え方をするのか、ゲーミングモニターの購入を検討する方に向けて、各リフレッシュレートの印象を含めた使用感をお伝えします。
60Hz:非ゲーミングモニターの限界
一般的な非ゲーミングモニターに多い60Hzでは、動きの速いシーンで残像感が強く発生します。日常的な作業や動画視聴では問題ありませんが、FPSやアクションゲームでは敵や背景がぼやけて見え、快適なプレイには適しません。一度高リフレッシュレートを体験すると、60Hzでは残像感が気になり、戻れなくなるほどの違いを感じます。
144Hz:ゲーミングの基本ライン
ゲーミングモニター市場で最も普及している144Hzは、残像感が大幅に軽減され、快適なプレイが可能な最低ラインといえます。60Hzから144Hzへの移行は、特に素早い動きの視認性が向上するため、初めて高リフレッシュレートモニターを使用するユーザーにとって、劇的な変化を体感できるポイントだと思います。
240Hz:さらなる滑らかさ
240Hzでは、144Hzと比較してさらに残像感が少なくなり、動きがよりクリアに感じられます。60Hzから144Hzほどの劇的な変化ではないものの、特にFPSやMOBAなどでのキャラクターの動きが滑らかに見えるようになります。細かい動きやターゲットの捉えやすさが向上し、より快適なプレイ体験が得られます。
360Hz:ノイズのない映像
360Hzまで来ると、映像の残像感はほとんど感じられなくなります。ただし、480Hzと比較すると違いは十分に実感できるレベルです。「240Hz以上は意味がない」といった意見もありますが、実際には360Hzと480Hzの差も十分に体感できます。滑らかさがさらに向上し、残像による視覚的なノイズが取り除かれる感覚があります。
480Hz:圧倒的なクリアさ
480Hzでは、残像感が完全に近いレベルで消え、非常にクリアでスムーズな映像が体感できます。敵キャラクターの高速な動きや背景の細かい動きもくっきりと捉えられるようになり、映像に残像によるノイズがなく、必要な情報のみが即座に目に入る感覚です。FPSゲームでは、敵の位置や動きを正確に把握しやすくなり、特に競技シーンでは明確なアドバンテージを得られると思います。筆者も360Hzまでしか経験がなかったため、それ以上のリフレッシュレートの必要性に疑問を抱いていましたが、実際に試してみると違いは明らかです。
応答速度との相乗効果
本製品の応答速度は、液晶パネルで最速とされるTNパネル(約1ms)を遥かに凌駕する0.03ms(GTG)です。この驚異的な速さにより、色や画面の切り替えがほぼ瞬時に行われます。これにより、480Hzのリフレッシュレートが持つ性能を最大限に引き出し、映像の残像感をさらに軽減しています。リフレッシュレートと応答速度の相乗効果で、非常に滑らかで快適な映像体験が可能になっています。
総評:480Hzは必要か?
今回480Hzを試してみた個人的な感想としては、映像の滑らかさと視認性を極限まで高めたいユーザーにとっては大きなメリットをもたらすと思いました。特にFPSやアクションゲームなどの素早い動きが求められるジャンルでは、敵キャラクターや細かい動きがより明確に見えるため、プレイ精度の向上が期待できます。
リフレッシュレートが高まるほど違いを感じにくくなるという意見もありますが、240Hzから480Hzまでの進化は歴然で、確実に違いは感じられます。20万円という価格は非常に高価ではありますが、実質2種類のモニターを使い分けられると思えば、十分に納得できるものだと感じました。
有機ELの映像体験とは?
前述の通り、有機ELパネルは自発光型の特性を持ち、各ピクセルが独立してオン/オフを切り替えられるため、液晶パネルとは異なりバックライトが不要です。そのため完全な黒が再現可能で、明るい部分とのコントラストが圧倒的に鮮やかです。その結果、映像全体にメリハリが生まれ、特に暗いシーンが多いゲームや映画で大きな違いを感じられます。
以下はIPSパネルモニター(AW2723DF)とのVALORANTプレイ画面の比較画像です。どちらも輝度100%、カラー設定はデフォルトです。
写真では違いが伝わりにくい部分もありますが、実際はより差は顕著で、有機ELの圧倒的な明暗差が映像の臨場感や没入感を大幅に高めているように思います。特に暗部が多いシーンでは、IPSパネルとの性能差は一目瞭然で、有機ELの映像体験は一段上のレベルにあると言えます。
特に以下のシーンでは、IPSパネルは暗部がやや白っぽくなっているのに対して、有機ELパネルでは非常にくっきりとした映像になっていることが分かると思います。明暗差の映画などの映像視聴時はもちろん、ゲームでも
特に暗部の多いシーンでは、その差が顕著に現れます。IPSパネルでは暗部がやや白っぽく表現され、全体的にフラットな印象を受けるのに対し、有機ELパネルでは暗部が完全な黒として表現されるため、非常にくっきりとした映像になります。また、本製品はAIシャドウブーストという暗部を自動補正してくれる機能を搭載しています(撮影画像はオフ状態)。
視野角の広さ
有機ELパネルの大きな利点の一つに、視野角の広さがあります。各ピクセルが独立して発光するため、どの角度から見ても色やコントラストがほとんど変化しません。これにより、正面以外の角度から見ても映像がくっきりと鮮明に表示され、複数人で画面を見る場合でも快適に視聴できます。
比較対象であるIPSパネルは、液晶パネルの中では視野角が最も広い部類ですが、有機ELと比べるとその差は明確です。IPSパネルでは斜めからの視聴時に映像が白みがかり、色の鮮やかさやコントラストが弱まる傾向があります。一方、有機ELパネルは視聴角度による色味やコントラストの変化がほとんど見られず、どの角度から見ても高画質な映像を楽しめます。
有機ELパネルの欠点について
非の打ち所がないようにも見える有機ELモニターですが、いくつか欠点も存在します。以下では「画面の焼き付き」「モアレの発生」「テキストフリンジ」の3点について説明します。
画面の焼き付き
有機ELパネルの代表的な欠点として、画面の焼き付きが挙げられます。これは、特定の静止画像を長時間表示し続けた場合に、表示された部分がパネルに「残像」として固定されてしまう現象です。ゲームやソフトウェアのUI要素、固定されたアイコンなどが原因となることが多い模様です。
本製品では、焼き付きを軽減するための「OLED Care」という機能が搭載されており、ピクセルシフトや画面の自動調整、ピクセルクリーニングなどを通じて焼き付きリスクを最小限に抑える仕組みが用意されています。ただし、完全に防ぐことは難しいため、定期的に表示内容を変える工夫が必要です。なお、本製品は購入日より3年間の保証があり、保証対象にはパネルの焼き付きも含まれています。
モアレの発生
有機ELパネルでは、細かいパターンや特定の色の表示において「モアレ」と呼ばれる干渉模様が発生する場合があります。この現象は、ピクセルやサブピクセルの配置が表示する画像の細かなパターンと干渉することで起こります。特にグレーや中間色を使用したグラデーションでは、縞模様や波紋のような干渉が目立つことがあります。
モアレの発生は、映像の視認性に大きな影響を与えるものではありませんが、場面によっては気になることがあります。この問題を軽減するには、解像度やスケーリング設定を調整したり、明るさやコントラストを変更するといった対策が有効です。
テキストフリンジ
有機ELモニターの弱点として挙げられる「テキストフリンジ」は、各ピクセルを構成するRGBサブピクセル(赤・緑・青)の配列が液晶とは異なる特殊な構造を採用していることが原因で発生します。有機ELでは、特定の色(特に赤や青)の解像度が緑に比べて低い場合があり、この影響で小さなテキストや黒文字に白背景といったコントラストの高い場面で、文字の輪郭に色のにじみやフリンジ(縁取りのような現象)が目立つことがあります。
以前筆者が使用していたDELL製の27インチWQHD 360Hzの有機ELモニター「AW2725DF」では、テキストフリンジが顕著で、ゲームプレイでは気にならないものの、ブラウジングや執筆作業では視認性の悪化により目の疲労感やストレスが増大し、個人的には耐え難いと感じました。
一方、本製品ではテキストフリンジがほとんど目立たず、ブラウジングや執筆作業といったテキスト中心の使用でも快適に感じられました。27インチWQHD IPSモニターと比較しても、フリンジの目立たなさは際立っています。これについては、本製品が32インチ4Kという高いピクセル密度を持つため、フリンジの影響が抑えられていることが大きな要因と考えられます。
特に文字の視認性を重視する場合でも、本製品はストレスなく利用できる仕様に仕上がっており、従来の有機ELモニターに見られるテキストフリンジの弱点を克服していると言えます。
参考までに白/黒背景でのテキスト画像比較と、27インチWQHD IPSモニターとの比較画像を以下に掲載します。
OSDメニュー
ROG Swift OLED PG32UCDPのOSDメニュー(モニターの調整メニュー)では、主に以下の設定が可能です。ゲームに特化した機能や焼き付き防止機能に加え、カスタマイズ設定の保存やショートカットの登録にも対応しています。このショートカット機能により、頻繁に使用する設定をワンボタンで呼び出せる点は非常に便利だと感じました。
- AI Assistant
- AI十字線、シャドウブースト(暗部補正)、AIスナイパー(画面中央の狙ったターゲットを自動的に拡大表示)、MOBAマップヘルパー(MOBAゲームのミニマップ上で集団戦が検出された場合に画面上で通知)
- ゲーミング
- フレームレートブースト、可変リフレッシュレート、ゲーム用各種機能など
- 画像設定
- 明るさやコントラスト、アンチフリッカー、アスペクトコントロール、ブルーライト低減など
- 色味調整
- OLED Care
- 焼き付き防止のための各種機能設定
- 入力選択
- PIP/PBP
- 照明効果
- お気に入り設定
- 各種ボタンにショートカットを登録可能
- システム設定
ASUS ROG Swift OLED PG32UCDP|総評
「ROG Swift OLED PG32UCDP」は、ASUSのゲーミングブランド「Republic of Gamers(ROG)」から今年11月22日に発売された32インチの4Kゲーミングモニターです。有機EL(OLED)パネルを採用し、4K解像度での高精細な映像と1,500,000:1という圧倒的なコントラスト比を備え、競技ゲーマーから映像視聴を楽しむユーザーまで幅広いニーズに対応しています。さらに、用途に応じて「4K/240Hz」と「フルHD/480Hz」を切り替えられるデュアルモード機能を搭載しており、映像美と応答性の両立を実現したハイエンドモニターとなっています。
メリット
- 圧倒的な映像美:有機ELパネルにより、完全な黒と鮮やかな色彩を表現し、1,500,000:1の高コントラスト比を実現
- 高性能デュアルモード:4K/240Hzの高精細モードとフルHD/480Hzの超高速リフレッシュレートモードに対応し、用途に応じて切り替え可能
- 高速応答速度:応答速度0.03ms(GTG)により、ほぼ遅延のない滑らかな映像表示を実現
- ゲーミング特化機能:可変リフレッシュレート(VRR)やフレームレートブースト、AIアシスタント機能など、ゲーム向けの機能を多数搭載
- 充実した機能性:OSDメニューの直感的な操作性やカスタマイズ性、USB-Cの90W給電対応など
デメリット
- 焼き付きのリスク:有機EL特有の画面焼き付きが発生する可能性あり(焼き付き防止機能搭載、3年焼き付き保証あり)
- モアレの発生:細かいパターンや中間色の表示で干渉模様が現れる場合あり
- フルHDモードでの画質劣化:解像度をフルHDに切り替えた際に、4Kに比べて解像感が低下
- 価格の高さ:約20万円とモニターとしてはやはり高価
今回、本製品を試して感じたのは、圧倒的なコントラストと鮮やかな映像美、そして32インチという大画面が生み出す没入感の高さです。映像視聴や高精細なゲームプレイに最適でありながら、フルHD/480Hz対応と驚異的な応答速度により、競技向けゲームにも十分対応できる性能を備えています。また、競合製品であるLG社製のOLEDモニター「32GS95UE-B」と比べても、USB Type-C対応、完成度の高いOSDメニュー、3年間の焼き付き保証といった強みがあります。
価格や画面サイズのバランスに納得できるのであれば、有機ELモニターは間違いなく体験する価値のある選択肢だと実感しました。また、ROGからは今年11月1日に27インチ/WQHDのOLEDモニター「ROG Swift OLED PG27AQDP」も発売されています。画面サイズがもう少し小さいほうが好みという方はぜひこちらも検討してみてはいかがでしょうか。
以上、「ROG Swift OLED PG32UCDP」のレビューでした。
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