本稿では、WOBKEYのメカニカルキーボード「ZEN65」をレビューします。
製品スペック
WOBKEY ZEN65 / Lite Version | WOBKEY ZEN65 / Ultra Version | |
---|---|---|
キーレイアウト | 65%レイアウト US配列 | 65%レイアウト US配列 |
スイッチ | HMX Violet Switch ・Actuation Force: 45±5gf ・Pre-Travel: 2.0±0.3mm ・Total Travel: 3.5±0.5mm | Kailh Luna Switch ・Actuation Force: 45±10gf ・Pre-Travel: 1.8±0.4mm ・Total Travel: 3.5±0.3mm |
ケース | CNCアルミニウム(電着塗装) | CNCアルミニウム(アルマイト加工) |
キーキャップ | PBTダブルショット | PBTダブルショット |
プレート | PCプレート | FR4プレート |
ホットスワップ | 対応 | 対応 |
VIA/QMK | 対応 | 対応 |
接続方式 | 有線 USB / 2.4GHz / Bluetooth | 有線 USB / 2.4GHz / Bluetooth |
バッテリー | 3000mAh | 6000mAh |
重量 | – | 約1.5kg |


クラウドファンディング(Makuake):https://www.makuake.com/project/wobkeyzen65-kibu/
開封|同梱品


同梱品
- キーボード本体
- 収納バッグ
- フランネル製収納袋
- 日本語・英語マニュアル
- 2.4G ワイヤレスレシーバー
- USB-C ケーブル
- キーキャップ
- スイッチプラー
- メタルプレート
- スペアスイッチ×3
- PCBガスケット×8
- プレートガスケット×6
- トップガスケット×6
- トップスクリュー×6

概要|デザイン
ZEN65は、Rainy75やCrush80といった人気モデルを手掛けてきたWOBKEYが放つ、第3弾となる65%サイズのメカニカルキーボードです。筐体にはCNC削り出しによるフルアルミニウムケースを採用し、内部には複数層のフォームを搭載。加えて、沈み込みのある柔らかな打鍵感を実現するガスケットマウント構造、カスタマイズ性の高いVIA対応、工具不要で簡単にトッププレートを取り外せるクイックリリース機構、そしてUSB・2.4GHz・Bluetoothの3種類の接続方式に対応と、ユーザーの求める要素を余すことなく詰め込んでいます。
海外では2025年6月頃よりKickstarterでクラウドファンディングが開始され、最終的に786人のバッカーから123,165ドルの支援を集めるなど、海外ユーザーからも高い注目を集めました。そして今回、日本国内向けにはMakuakeにてクラウドファンディングがスタートしています。
製品は「Lite」と「Ultra」の2バージョンが用意されています。両者の主な違いは以下の通りです。
- スイッチ:LiteにはHMX Violet Switch、UltraにはKailh Luna Switchを搭載
- プレート:LiteはPC(ポリカーボネート)、UltraはFR4を採用
- バッテリー容量:Liteは3000mAh、Ultraは6000mAh
- カラーバリエーション:Liteは4色展開、Ultraは6色展開

今回レビューするのはUltraのシルバーモデルです。外観デザインはカラーによって大きく印象が変わりますが、シルバーは特に落ち着きと高級感を兼ね備えた仕上がりとなっています。ケースはアルミ削り出しのシルバーで、美しい質感と剛性感を感じさせます。
キーキャップは全体的にわずかに青みがかったライトグレーが採用され、そこにアルファベットキー以外のブルーグレーがアクセントとして加えられています。控えめながらも上品な色合いで、シンプルかつミニマルな印象を演出しています。派手さはありませんが、落ち着いたデスク環境やモノトーン系のセットアップに自然に溶け込むデザインだと感じます。

配列は65%サイズで、TKLに比べてさらにコンパクトな筐体となっています。必要最低限のキーを備えつつ省スペース性を重視した設計で、狭いデスク環境でも扱いやすい人気のレイアウトです。本体も約1.5kgとずっしりとした安定感があります。

また、キーボード右側にはエンブレムが刻まれた鏡面仕上げのプレートが備わっており、シンプルな外観にさりげない高級感を添えるワンポイントアクセントとなっています。

底面はシルバーのボトムケースにグレーのバッテリーホルダーを組み合わせたデザインとなっています。シンプルで落ち着いた配色ながら、金属の質感が際立ち、全体の高級感を引き立てています。

バッテリーホルダー部分は背面からもわずかに見える構造になっており、シンプルなデザインの中にさりげないアクセントを加えています。機能部品でありながら外観デザインの一部としても成立しており、無機質になりがちな底面に程よい変化を与えています。

底面中央には「WOB LAB」と刻印された赤いメタルプレートが搭載されており、デザイン上のアクセントとして大きな存在感を放っています。単なる装飾ではなく、内部にはUSBレシーバーを収納できるポケットが備わっています。

ケース前面の高さは19mmと比較的低めに設計されています。メーカーとしてもこの点をセールスポイントとしており、リストレストなしでも手首への負担を軽減できるとしています。ただし、筆者の感覚では、19mmでもリストレストなしではやや手首に負担がかかるため、長時間の使用を考えるとリストレストを併用したほうが快適に感じました。
本体の角度は約7度で、チルトスタンドは備わっていませんが、適度な角度が付けられています。

ZEN65の大きな特徴のひとつが、クイックリリース構造の採用です。キャッチボール + POGO Pin設計により、トッププレートを工具なしでワンタッチで取り外すことができます。外す際には多少の力が必要ですが、トッププレートの左右をしっかり掴んで持ち上げれば、スムーズに分離可能です。
一般的なカスタムキーボードでは分解にドライバーが必須となるケースが多い中、ZEN65ではメンテナンスやフォームの入れ替え、プレートの交換といった作業を手軽に行えるのが大きなメリットです。



本体との接続にもケーブルは使用されておらず、マグネットによって底面プレートとPCBを固定する仕組みになっています。これにより、従来のように細いケーブルを断線させる心配がなく、パーツの着脱がよりシンプルかつ安全に行えます。メンテナンス性だけでなく耐久性の面でも安心できる設計です。

PCBとプレートの接続方式にはガスケットマウントが採用されています。これにより、タイピング時には沈み込みのある柔らかな打鍵感が得られ、長時間の使用でも指への負担が少なく快適に入力できます。
さらに、本機はトップマウントにも対応しており、トッププレートにPCBを固定することで、ガスケットマウントとは対照的に底打ち感が硬めの打鍵感を味わうことができます。ユーザーの好みに合わせて「柔らかめの沈み込み」か「硬めでダイレクトな打鍵感」かを選べる柔軟性を備えている点も大きな魅力です。

打鍵感 / キースイッチ・キーキャップ
ZEN65 UltraにはKailh Luna Switchが標準搭載されています。あらかじめルブが施されたリニアスイッチで、荷重は45±10gf、総ストロークは約3.5mmと標準的なスペック。押し心地はスムーズで、素直なリニア感を楽しめます。

スイッチの特性としては全体的に滑らかですが、ややルブが薄いのかわずかな擦過音が感じられる場面もあります。面倒ではありますが、追加で手作業でルブを施すことでさらに高品質な打鍵感に仕上がるでしょう。軸ブレは少なく、タイピング中に気になることはほとんどありません。
打鍵感に関しては、フレックスカット入りのプレートとガスケットマウント構造の組み合わせにより、底打ちはほどよく柔らかく、衝撃が上手く吸収される印象です。そのため長時間のタイピングでも指先が痛くなりにくく、実用性の高さが感じられます。

打鍵音についても、内部に配置された豊富なフォーム構造がしっかりと効いており、ケース内部で不要な反響を抑制してくれます。そのため耳障りなノイズや金属的な響きは一切なく、上質で落ち着きのある打鍵音に仕上がっています。さすがWOBKEYと思わせる完成度で、一般的なメカニカルキーボードとは一線を画したタイピング体験を提供してくれます。

LiteバージョンにはHMX Violet Switchが採用されています。これはRainy75にも搭載されていた評価の高いスイッチで、個人的にも好みのスイッチです。欲を言えばUltraバージョンでも選択可能であれば嬉しかったところです。しかし、Kailh Luna Switchも十分に優れたフィーリングを持ち、さらにホットスワップ対応であるため、好みに応じて後から自由にスイッチを差し替えることも可能です。
キーキャップはPBTダブルショット仕様。長期間使用しても印字が消える心配がなく、耐油性にも優れた素材が採用されています。表面はサラッとした手触りで、安っぽさは一切なく、触れた際の感触も良好。バリ処理も丁寧に施されています。

WOBKEY ZEN65|総評
WOBKEY ZEN65は、「高級感・機能性・メンテナンス性」を兼ね備えた万能型65%キーボードといえます。箱から出したその瞬間から、まるでハイエンドなカスタムキーボードのような滑らかで“Thocky”な打鍵体験を楽しむことができます。さらに、クイックリリース構造を採用しているため、カスタマイズや内部の清掃が容易で、メンテナンス性の高さも大きな魅力です。
打鍵感は柔らかさと剛性感のバランスが絶妙で、タイピング中心のユーザーはもちろん、ゲーム用途でも快適に使用可能です。フォームやガスケット構造がしっかり効いており、打鍵音も心地よくまとまっている点は、量産機ではなかなか味わえないポイントでしょう。

価格はLiteで2万円前後、Ultraで2万5千円前後とミドルハイ帯に位置しますが、実際の完成度を考えれば「価格以上の満足感」を得られるモデルです。加えて、100%純銅ケースを採用した限定モデルもラインナップされており、コレクション的な魅力もあります。
総じて、「量産キーボードに満足できないが、フルカスタムには踏み出しづらい」ユーザーに最適な選択肢といえるでしょう。デザイン性・打鍵感・拡張性のいずれも高水準でまとまっており、さらに将来的なカスタマイズにも柔軟に対応可能。長く使い続けられる完成度を備えた製品に仕上がっていると感じました。
WOBKEY ZEN65は現在Makuakeにてクラウドファンディングが開催中で、期間は10月30日までとなっています。価格は以下の通りで、LiteとUltraの2系統に分かれており、それぞれに早割や日本語配列モデルなどが用意されています。
- Lite系モデル
- 20,500円(21%OFF)/ 早割150台限定
- 22,500円(13%OFF)/ MAKUAKE割無制限
- Ultra系モデル
- 24,900円(22%OFF)/ 早割200台限定
- 25,500円(20%OFF)/ MAKUAKE割無制限
- 25,900円(21%OFF)/ 日本語配列モデル(Blackのみ)、500台限定
- 限定色キット
- 36,900円(16%OFF)/ 限定価格100台限定
さらに、ケース素材に100%純銅を採用した限定色キットも販売されており、こちらはわずか100台のみの限定生産です。ただし、この限定キットにはスイッチやキーキャップは含まれていないため、別途用意する必要がある点には注意が必要です。
クラウドファンディング(Makuake):https://www.makuake.com/project/wobkeyzen65-kibu/