本稿では、HiFiGo / TANCHJIMより発売されているイヤホン「TANCHJIM 4U」をレビューします。
製品スペック
製品名 | TANCHJIM 4U |
ドライバー | デュアルチャンバーダイナミック型ドライバー |
インピーダンス | 32Ω±5% |
感度 | 122dB/Vrms |
周波数レンジ | 8Hz – 48kHz |
コネクター | 0.78mm 2Pin / 3.5mmプラグ |
パッケージ
TANCHJIM 4Uは、1万円のイヤホンとは思えない高級感のあるパッケージとなっています。さらに、TANCHJIMが開発したキャラクター「浅野てんき」のステッカーが付属しています。
同梱品
- イヤホン本体
- 0.78mm 2Pinケーブル
- イヤホンポーチ
- イヤーピース2種類×3サイズ
- ロータリースイッチ調整ドライバー
概要|デザイン
TANCHJIMは、2015年に設立された中国のオーディオブランドで、中華オーディオブランドとして国内でも高い認知度を持っています。安価ながら品質が高く、さまざまな魅力的な製品を展開している注目のオーディオブランドです。
今回レビューする「TANCHJIM 4U」は、2024年5月に中国で発売されたエントリーモデルで、価格は約1万円。機種名の「4U」は「For You」を表しており、低価格でありながら高性能を実現した製品です。
外観は金属製の筐体で、価格以上の高級感があります。イヤホン単体の重量は約9gで、少し重量感があるものの、質感は非常に良好です。
イヤホンのフェイスプレートは一部鏡面仕上げとなっており、4U / TANCHJIMの刻印が施されています。全体的に1万円のイヤホンとは思えないほど洗練された印象で、質感は非常に良好です。
ケーブルは、銅線を編み込んだものがクリアなチューブで覆われたタイプで、CIEM 2Pinコネクターを採用しています。耳掛け部分にワイヤーが入っているため、シュア掛けを前提としています。細めのケーブルながら、絡まりにくく、取り回しも良好です。見た目もクリーンで、所有欲を満たしてくれます。
音質|装着感
TANCHJIM 4Uは、箱出しの状態から非常に良い音を出してくれます。約1万円という価格帯で、これほど美しい音を鳴らすイヤホンは珍しいと思います。なお、筆者はオーディオに関しては様々な製品を試したことはあるものの、耳が肥えているわけではなく素人です。あくまで主観でレビューしていきますので、その点をご承知いただくようお願いいたします。
音質の傾向としては、高音寄りで低音は控えめです。中高音域は非常にクリアで、特に女性ボーカルが際立って聴こえる綺羅びやかなサウンドです。それでも耳に刺さるような不快な感じはなく、長時間のリスニングでも疲れにくいチューニングが施されています。
低音域はやや控えめですが、しっかりとバランスを保ち、必要十分なベースを支えている印象です。安価なイヤホンにありがちな輪郭がぼやけているような印象はなく、控えめながらも締まりのある低音を鳴らしてくれます。
また、TANCHJIM 4Uでは4段階で調整可能なロータリースイッチが搭載されています。ユーザーが好みに応じて低音の出力傾向を調整できるというもので、イヤホン本体のロータリースイッチを付属の工具(マイナスドライバーなどでも代用可)で回転させることで、4段階の音質の変化を楽しむことができます。以下、各モードの印象です。
- ATMOSPHERE:最も低音が強いモード。初期状態ではこのモードに設定されており、バランスが良く、聴き疲れしづらいマイルドな音質で長時間のリスニングに向いています。
- POP:やや低音強めのモード。ATMOSPHEREよりは低音は控えめですが、大きな変化はないように感じます。
- NATURAL:POPよりもやや低音を抑えたモード。POPとの大きな違いは素人の耳では感じ取れませんでした。
- MONITORING:最も低音を抑えたモード。こちらは明確な違いがあり、かなり耳に刺さる印象を受けました。低音はかなり抑えられていますが、その一方で高音域が強調されすぎていて聴き疲れする印象です。個人的には実用的ではないと感じます。
個人的には、初期設定のATMOSPHEREが最もバランスが良いと感じました。POPやNATURALでは低音域がやや物足りなく感じます。元々中高音域にフォーカスした製品だと思うので、ATMOSPHEREぐらいの低音の出方が最もバランス良く感じます。ユーザーの好みで音質を調整でき、手元で変化を楽しめる点は非常に便利だと思います。
装着感は非常に良好で、比較的コンパクトな筐体なので耳への収まりがよく、耳にしっかりとフィットします。重量も重すぎず、長時間の装着でも疲れづらい印象です。付属のイヤーピースは形状の異なるものが2種類、それぞれ3種類のサイズが付属しています。
また、音楽試聴以外にFPSゲームでも使用してみました。銃声などやや高音域が強調されすぎる印象があり、音の種類によっては若干刺さる印象です。音場もあまり広いとは思えず、個人的にはゲーム用途としては使いづらいといった印象を受けました。
参考までに、筆者が普段使用しているのは「FiiO FF5」というイントラコンカ型のイヤホン。こちらは実際に様々なイヤホンを視聴した結果、開放型で不足しがちな低音がしっかりと出ており、それでいて中高音域もかなり澄んだ音を鳴らしてくれるため購入に至ったイヤホンです。解像度が高く、音場も広いためFPS用途でも非常におすすめです。
TANCHJIM 4UとFiiO FF5の比較では、中高音域の綺麗さは4Uに軍配が上がる印象です。低音域はどちらも似たような印象で音場の広さはFF5が優勢、解像度の高さは同程度に感じます。ボイスチャットを使用する際に自分の声が聞こえるのが個人的には嫌なのと密閉型の圧迫感が苦手なのでFF5を好んで使用しているのですが、4Uに関しては自然なフィット感で密閉感がそこまでなく、インナーイヤー型に対する苦手意識が払拭されました。
開放型でゲーム用途であればFiiO FF5、遮音性と中高音域を重視し、予算1万円程度であればTANCHJIM 4Uはかなり有力な候補に挙がってくるのではないかと思います。通常時は約1万円でセール時には1万円を切る価格で、これだけの音質と品質の高さは他にあまり類を見ないのではないでしょうか。女性ボーカルなど中高音域重視で音楽視聴を楽しみたいという方に非常におすすめしたいイヤホンです。
以上、「TANCHJIM 4U」のレビューでした。
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